日本三大峡谷と称される「黒部・下ノ廊下」の山行き記録について大量の写真とともに紹介します。第2部では黒部湖から新沢越合流点までの行程について紹介します。
「黒部・下ノ廊下」は毎年関係各位により大規模に登山道が整備されますが、転落すれば生命にも関わることから、俗に「黒部では怪我をしない(死亡する結果となることを意味する)」とされ、それなりの体力と装備を要する登山道です。遊歩道ではありません。事前に調査のうえ、自分の経験と体力を考えて、無理のない山行計画を立て、ご自身の判断と責任で登山をおこなってください!
黒部湖のの朝、標高1500mなので平地に比べるとかなり冷え込んでいます。大量の水をたたえる黒部湖のおかげで少しは暖かいのだと信じたいです。
黒部ダムの堤体上部は吹き曝しなので、風が吹くととても寒いです。
そして、曇っています。完全に雲がかかっているのではなくボヤっと曇っているので写真もボヤっとしています。撮影スキルがないのが悔やまれます。
立山側を振り返ると日が照ってきました。カメラのセンサーが貧弱なので、露出が飽和しています。現像ソフトで補正していますが、研究員のスキルではここら辺が限界です。所々、水溜まりには薄い氷が張っていました。
黒部ダム駅方面のトンネルに入ります。ここから登山口を目指しますが、この時間帯だと黒部ダム駅が封鎖されいているので、進行ルート若干異なりますので注意が必要です。またヘッドライトがないと歩けない程暗くはありませんが、作業車の交通がしていますので、自身の存在を主張して安全の確保を図るためヘッドライトは点灯させておきましょう。
前の記事の写真を使いまわしています。登山口は黒部ダム駅のホームの先に存在します。
「日電歩道 内臓助谷方面」の表示を信じて進みます。
登山道より登山者への扇沢への徒歩通過注意の喚起の方が目につきますが、登山口です。
通路の脇にお手洗いが設けられています。ここから阿曽原温泉小屋まで使用できるお手洗いは皆無ですので、計画的に利用してください。
歩きやすいのか、歩きにくいのか微妙な砂利道を歩きます。勾配は結構あり速度に乗ってどんどん足が前に出ていきますが、途中分岐でメインルートから反転して登山口に向かいますので、分岐を無視して進むと黒部ダムに到達してしまいます。
そして、研究員はダムに到達しました。どんな道であろうと地図はしっかり確認しましょう。
分岐でしっかり、メインルートから分岐すると日電歩道の登山口表示が現れます。黒部ダム駅のしっかりした看板と比べると、「とりあえず設置しておきました。」程度です。無ければ作業道にしか見えない程そっけない登山口です。考えてみれば、日電歩道も調査用の作業道でした。
これ、下流から登ってきて川からダムに行くことを考えると、かなり精神的に堪える急坂ではないかと思います。
方流路脇の急坂を下ると細い橋を渡ります。橋の渡し板は幅30㎝くらいでしょうか、脇にはロープが渡されておりますが、水面からの高さがなく川の水量が多く橋が濡れているので、あまり感じたことのない怖さがあります。写真撮影される方は気を付けていただきたいと思います。橋を支えている橋脚は、以前の工事車両用の沈下橋の橋脚の基部を再利用したものと思われます。
黒部ダムからは約500mありますが、黒部ダムの存在がしっかり目視できます。いろんな意味で大きな存在です。
登山道の表示よりしっかりとダムの緊急放流の注意喚起の看板が設置されています。
ここまで観光客が入り込んでくるかは不明ですが、黒部ダム駅脇の登山口表示にも併設してほしいところです。とりあえず、谷で警報音が聞こえたらすぐに高いところに移動しましょう。間違っても谷や沢の中央が平坦で広いからととどまってはいけません。
しばらくは、紅葉がきれいな普通のトレッキングコースが続きます。しかし、朝早いので谷の底まで日が照りません。10時頃訪れればもっときれいな景色を楽しめるとは思いますが、それでは、明るいうちに阿曽原温泉小屋には到達できません。
最初の2kmくらいは川からの高さがないトレッキングコースを歩きます。紅葉のコントラストが美しいのですが、いかんせん光量が足りません。
現像ソフトで補正するとこんな感じになる失敗が多発します。人間の脳内補正は最高の補正機能を提供しているのだと感じます。
下流側を臨みます。やはり朝のためか谷は暗いです。
ここからいきなり黒部らしい道に代わります。高度があり、見晴らしがよく、紅葉も美しいですが、カメラのセンサーが貧弱なので写真の上部が完全に飽和してします。研究員はこの写真を見てカメラを代えることを決断しました。その話は今後できたらします。
ほぼ同じ地点からアングルを変えて撮影。川の上部のうねった線が歩道となっています。川からの高度もそこそこありますが、歩道から上部の高さもかなりあります。絵にかいたような谷を歩いています。
拡大してみると川辺の細道を歩いている人が見えます。川からの高度は20mくらいはあるでしょうか。とても足を踏み外して怪我をしない範囲で制動することができる自信はありません。とにかく一歩一歩確実に歩くことを心がけましょう。
人気の路ですが、この秘境をこのような多くの人数が歩いているのに驚きますが、この写真に写っているパーティーの人数が多いだけで、ハイシーズンの富士山のように常に人と顔を合わせて歩くわけではありません。また、阿曽原温泉小屋にまだ明るい時間帯である15時くらいに到着しようを考えれば、黒部ダムを出発する時間帯は限られてきますので、通過人数のわりに歩行者多く感じるようになるという理由もあると思います。
写真の質は悪いですが、実際の景色は素晴らしいの一言です。
登山道は狭いですが、橋なども架かっておりしっかりと整備されています。
黒部川を流れる水も吸い込まれそうな程綺麗ですが、吸い込まれるように一歩を踏み出してはいけません。一歩向こう側には踏ん張る道はありません。
谷は蛇行しているので、少し場所を移せば移動した分だけ景色が変わります。
冬は雪深い黒部ですから毎冬破壊されているはずですが、立派な橋が架かっています。下界では絶対渡りたくない橋ですが、登山道であれば非常に心強いです。登山道はしっかりしていますが、谷川に角度がついているところもあります。
空と山の間に変なコントラストができていますが、気にしないでください。すぐ上の写真の地点から黒部川上流を向いた写真です。険しい山間の谷の中を歩いていることが実感できます。
途中、断崖の路から林の路に帰っていきますが、相変わらず川側に踏み外せば死んでしまいそうな道です。油断はできません。
ちょくちょくと橋が現れます。もともとは一段下がったところを渡る路があったみたいですが、橋は新たに水平に造作されています。橋は結構濡れていました。
ここに橋が架かっている理由ですが、上を見上げると沢なのか滝なのかわからない流れが山から盛大に滴ってきています。体が濡れるような感じではありませんが、雨の直後は歩きたくはありません。
一部を切り取ると「どんな秘境なのか?」といった風景ですが。
引いてみると「どこにでもある川辺」とはなりません。普段見ないような大胆な光景です。
内蔵助谷の分岐に到達しました。山側に登っていくと真砂沢ロッジに、そこからさらに登ると剣岳に到達します。今回は黒部川に沿って下山します。
内蔵助谷中央から空を見てみると、抜けたような空を見ることができます。大きな岩がごろごろ転がっているのでちょっと恐怖感がありますが、木々が生えていることを考えると頻繁には落石が発生しているわけではないので、無用に怖がることはないかと思います。
少し先から内蔵助谷を見てみると眩しいほど紅葉が。それよりも眩しい日の光で写真の上部は完全に飛んでしまっています。
一部大小の岩が堆積したガレ場を進みます。ルート上には赤のスプレーで道標が丁寧にマーキングされています。流れ着いた流木が谷の規模感を表しています。
側の川は谷の狭窄部の岩場を音と泡を立てて流れていきます。水量は思ったよりあり、迫力もあります。近づきすぎないようにしましょう。
根が上側になって漂着した流木の側の崩れやすいガレ場を登ります。数人で通過する場合は後続の方に気を付けて、ある程度間隔をあけて通過した方がいいかもしれません。
上流側は急流ですが、すぐ下流は結構緩やかな流れです。ガレ場を歩いていきますが、ここもコースはスプレーでマーキングされています。
ここでも紅葉がきれいですが、樹木の種類により紅葉の差が顕著です。
たまに覗く青空が美しいのですが、撮影の技術、カメラ、天候によりこのような写真はほとんどとれませんでした。
谷の対岸は険しい絶壁です。黒部には結構クライマーが生息しているようなのですが、クライマーではない研究員にはルートは全く確認できません。
一方で谷のこっち側も険しいです。地震があれば間違いなく落石が発生しそうです。
道幅が広がっているので、ぱっと見進行ルートを迷いますが、足元のトレースに気を付ければ、進めなくなることはありません。転がっている岩から自然の営みの規模の大きさを感じ取れます。
上流側を見てみると立派な谷です。
谷の側面を川の水面から離れたり、近づいたりしながら徐々に標高を下げていきます。
山の上部からは沢なのか滝なのか分類できない流れが確認できます。
険しい断崖ですが、長い間崩落していないところでは植物がたくましく成長しています。
険しい断崖と山の上部の斜面の差が激しく、岩肌に厳しさを感じてしまいますが、よく考えると山の上部の斜面とて普通に考えると、決して緩い斜面というわけでもありません。
道行く登山者と谷の対比はこんな感じです。物理的に考えると本当に人間は小さい存在です。右奥にこの時期までしぶとく生き残っていたスノーブロックが確認できます。
明らかに人間が掘り進んだと思われる路に登りました。もともとは完全な垂直な壁だった考えられます。道幅は感覚で50㎝でしょうか。にわかハイカーである研究員はここに到達して初めて「来たのは間違いではないのか?」と感じ始めます。
このステップ遮蔽物がない高台になっているので見晴らしはかなりいいです。ただ道幅が狭いので撮影には十分注意が必要です。
こんな道標が掛けられていました。
続きは第3部でご確認ください。
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