黒部・下ノ廊下 第1部 '2018

日本三大峡谷と称される「黒部・下ノ廊下」の山行き記録について大量の写真とともに紹介します。当記事は2019年にアップロードされているにもかかわらず、実際に山行きが行われたのは2018年のことでありました。これから同コースを通行される方は、本記事の内容はあくまでも参考程度とお考え下さい。

第一部では「黒部・下ノ廊下」までのアクセスについてお伝えします。

登山道名「黒部・下ノ廊下」は通称であり、本来は黒部峡谷の核心部「下廊下」(下ノ廊下)を含む「日電歩道(にちでんほどう)」と、富山県黒部市の仙人谷ダムから中新川郡立山町の黒部ダムまでの黒部川上流沿いに約 16.6 km にわたって延びる歩道と、それに接続される水平歩道(すいへいほどう)は、富山県黒部市の欅平から仙人谷まで、黒部川上流沿いに約 13 km にわたって延びる歩道を総称したものです。

「黒部・下ノ廊下」は毎年関係各位により大規模に登山道が整備されますが、転落すれば生命にも関わることから、俗に「黒部では怪我をしない(死亡する結果となることを意味する)」とされ、それなりの体力と装備を要する登山道です。遊歩道ではありません。事前に調査のうえ、自分の経験と体力を考えて、無理のない山行計画を立て、ご自身の判断と責任で登山をおこなってください!

登山道整備状況については阿曽原温泉小屋Webサイトよりご確認ください。

研究員は今回、黒部ダムから下るルートを選択しました。実際に多くの方が体力や安全を考え、下る方を選択する方が多いと思います。

登山道の入り口である黒部ダムは立山黒部アルペンルートの途中地点にあります。名古屋を拠点に生活する研究員は、扇沢駅側から黒部ダムに入りました。本来は最寄り駅はJR信濃大町駅ですが、個人的な寄り道のためJR長野駅から扇沢駅行きのバスに乗って登山道入り口を目指します。

JR信濃大町駅を経由して非常に綺麗な大町アルペンライン(長野県道45号扇沢大町線)を抜けていきます。黒部ダムの工事専用道路として作られた道路であり、この時点ですでに歴史を味わう「黒部・下ノ廊下」山行きは始まっています。

扇沢駅到着。

2018年までは「関電トンネルトロリーバス(正式名称:関電トンネル無軌条電車)」の駅でしたが、冬季休業明けの2019年4月15日から電気バスが運行に用いられています。研究員はトロリーバスが廃止されると聞いて「黒部・下ノ廊下」行きを優先しました。

用いられるのは無軌条電車なのでバスの車体ですが、電車ですので改札が設けられています。

改札の上階にあるホームから大町アルペンラインで走ってきた谷を眺めることができます。鮮烈な色合いではありませんが、紅葉が綺麗に進んでいることが確認できます。

ホームに並ぶ無軌条電車(トロリーバス)レトロな色の車体に鮮やかな黒部ダムのマスコットキャラクターである猫「くろにょん」ステッカーが貼られています。何か違和感がありますが、ここは国内外から年間90万人が訪れる観光地の一部、こんなこともあります。

車体の先頭にも黒部ダムのマスコットキャラクターである猫「くろにょん」とトロリーバスラストイヤーを示すステッカーが貼られています。出発するとすぐにトンネルに入ります。トンネルももちろん黒部ダム工事の際に掘削されたものです。

黒部ダム駅到着。

扇沢 - 黒部ダム間6.1kmを15分ほどで結んでいます。社内では黒部ダム工事に関するアナウンス放送を聞くことができます。

黒部ダム駅の先頭に次の日歩く日電歩道への順路を示す案内があります。確認しておきましょう。

せっかくなので黒部ダムを観光します。バスが運行している時間帯は観光客も多く、売店等もあるので登山道の入り口にほど近いですが普通の観光地の雰囲気。登山装備が少し場違い感を醸し出します。

「ダムダムくんのさんぽみち」を登り、展望台に出ます。

ダム湖である黒部湖や建設に使用された可動索道を走らせていた軌道が見えます。


周囲の山域のスケールモデルが設置されていました。

そして黒部ダムの堤体。大きくて機能美・造形美を備えた構造物。関西を高度経済成長期から支える日本の誇る産業遺産といって間違いないでしょう。

高い.....。そして人が小さい。人間の執念というか、土木時術の凄さというか、業の深さというか、よくこんなものを築造したと思います。そして、ここで足を滑らすとどうなるのか考えただけでも怖いと感じていた研究員でした。

今ではその役目を終えていますが、周囲の構築物には全てに意味があります。

ここから見る紅葉もそれだけで価値あるものです。少し派手すぎる色味で現像した感がありますが、研究員の心象風景ということでご理解ください。

翌日歩く黒部川が遥か下方に見えます。

標高が低い方から紅葉が進む様子がはっきりと確認できます。

建設当時に使われた機材等も野ざらしで展示されています。

ダムの上部だけではなく堤体上面から下ったところにも展望台が設けられています。

振り返ると上部にケーブルクレーンの軌道の支持構造物が見えます。余談ですが、ここで活躍していたケーブルクレーンは、その後近畿に運ばれ大滝ダム建設で活躍して、現在は大滝ダムの辺りに佇んでいます。
どこから見てもなにか考えさせられる構造物です。
本来は別の目的で建てられたであろう建屋も、現在では観光の展示に活躍されていました。
自然と人間のコラボ造形作品。
堤体の上から黒部川を眺めます。結構先まで付帯設備があることが確認できます。そして、翌日左岸に渡る橋も確認できます。
なみなみと水を称える人工湖・黒部湖。
堤体の上の道は結構風が吹いて肌寒いです。
標高1500m地点なので結構標高はあるのですが、雲が近いです。
黒部湖と北アルプスの山々。黒部湖は北アルプスの中に位置しています。
堤体の対岸巨大な扉からトンネルに入ります。
まずはケーブルカー乗り場を目指し左側に進みます。
ケーブルカー乗り場をさらに左に進みます
これまでの道に比べると天井が低いトンネルを進みます。この時刻になるとここを歩く人間はほとんどいません。
黒部湖の立山側を半埋没式のトンネルの通路を進みます。
黒部ダム堤体上部構造物の全景。

日が暮れかけた山々は刻々と表情を変えていきます。

立派な橋が架けられています。さらに進みます。

この日観光した黒部ダム。

ちょっとした遊歩道になっています。多少起伏はありますが、紅葉狩りとして歩くなら素晴らしい遊歩道だと思います。

この日宿泊した「ロッジくろよん」。見た目は工場然としていますが、内部はホテルと民宿の中間的な感じで、掃除が行き届いており浴場もあります。近くに幕営することもできます。


ご飯もおいしいですが、基本的に相部屋でホテルではありません。そして、宿泊者の多くがアウトドアブランドの衣服で身を纏い、幾人かの手には吉村昭著・長編ノンフィクション小説「高熱隧道」が握られていました。


それでは、登山口から先は第二部で。


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